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Waboku

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Waboku。退廃的な世界観を軸に制作活動を行う。代表作に「EMIGRE」「ハイタ」「お気に召すまま」など。空気の密度や香りなど目に見えないものを表現する事に重きを置いている。

  • 2016年「ASIAGRAPH2016」日本科学未来館
  • 2016年「学生CGコンテスト 受賞作品展」日本科学未来館

www.wabo2.tumblr.com

Artist Interview

SHOWER:THE SHOWER GALLERY7回目となる展示アーティストは、東京で活躍されているアニメーション作家のWabokuさんです。どうぞよろしくお願いします。

Waboku:よろしくお願いします。

SHOWER:Wabokuさんは今回が初めての個展ということですが、設営が完了していかがですか?

Waboku: アニメーション作家として3、4年くらいやってきて、ずっとアニメーションを描いてきたのですが、この広い空間を全て埋め尽くせるくらい絵があるのかな…と正直思ってたんですけど、意外と並べてみると成立できていました。今までを振り返えれて壮観でしたし、やりがいのある仕事をやってきたなって言うのを実感してますね。

SHOWER:確かにこれだけ並ぶと壮観ですね。
アニメーション作家を目指されたきっかけは何だったんでしょうか?

Waboku: アニメーション作家を志したきっかけは、大学を卒業してから新卒でCGアニメ制作会社に一度は就職して、集団でアニメーションを作ることを経験したんですけど、それがちょっと自分の肌に合わなくて…。やっぱり大学生の頃のように一人でアニメーションを作って生活していきたいなと思ったのが一つのきっかけでしたね。

SHOWER:その制作会社では一般的なテレビアニメを作られてたんですか?

Waboku: 香川だとあんまり見る機会がないかもしれないんですけど、東京の方の放送局のCM作りとかをメインでやってましたね。一般的なテレビアニメーションのCGだったりエフェクトをつける作業をやってました。

SHOWER:幅広くやられてたんですね。
大学での経験で今の活動に生かされてることってありますか?

Waboku:アニメーションを作ることって専門技法じゃなないですか、やっぱり。一口にアニメーション作るといっても何から始めればいいのかわからないと思うので、そういう基礎や必要なことを教えてくれたのが大学での授業でした。あるいは春休みとかに自主的にものをつくった経験がベースにあるので、僕の仕事全てにつながる事は大学で培われた感じですね。

SHOWER:卒業制作がきっかけでどんどん仕事にもつながっていったんでしょうか?

Waboku:卒業制作をつくって、それが色んなところで賞をいただく機会はあったんですけど、それがお仕事につながった事は一度もなくて…。受賞はしたけどアニメーション作家として食べていける状態じゃないよねっていう考えも当時は持ってました。

SHOWER:そういう方って意外と多いかもしれないですね。
アニメーション作家として、影響を受けた作品はありますか?

Waboku:それは…数限りなくありますけど。アニメーション作品で言えば「鉄コン筋クリート」「永久家族」だとか、スタジオ4℃というアニメーション制作集団がありまして。そこに影響を受けた感じですかね。思い返せば、大友克洋監督の「AKIRA」から始まり、「スチームボーイ」「FREEDOM」など、本当に思い返せば色々と出てきます。でもやっぱり核となったのは「鉄コン筋クリート」あたりだと思います。

SHOWER:小さい頃は意外とそんなにアニメを見ていたわけではなかったとか(笑)。

Waboku:そうですね。いわゆる深夜アニメとかを見るようになったのは大学に入ってからで、それまでは「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」と継続して見てるのはその二つくらいでしたね。たまに有名なアニメーション映画を見る感じでした。

SHOWER:現在は、他のアニメーションを見たりされますか?

Waboku:勉強目的で見てますね。アニメーション映画は結構よく見るんですけど、テレビアニメーションとなると、ここ1、2年くらい見てないかもしれなくて…。僕らの世代は社会に出て働いているので、同期の人でもテレビアニメーション業界で活躍している人もいて。エンドクレジットに同期の名前が出てるのを見るのが辛いので、あまり見ないようにしてるっていうのはありますね(笑)。

SHOWER:でも、wabokuさんは自分で作品を作ってるから、エンドクレジットの一番目とかに載せられますよね(笑)。

Waboku:そうですね(笑)。その点では、そんなに捨てたもんじゃないって思う自分もどこかにいたりはするんですけど。やっぱり、エンドクレジットで同期の名前を見て「う〜ん…」ってなっちゃう自分もいますし。それと、仕事柄どうしても作品を観ると単純に作品として楽しめなくて。ここの動きがこうだから良いだとか良くないだとかばっかり考えちゃうから、余計にアニメーションを見ることから離れて行ってる気がします。

SHOWER:細かいところが気になって内容があまり入ってこないのは一種の職業病ですね…。

Waboku:「君の名は。」を観てたときは、全然集中できなくて。勉強として観てたのでレベルが高すぎて…。今年の1月に地上波で流れたものを観て、ようやく作品として楽しむことが出来た感じですね(笑)。

SHOWER:なんだか、好きなものに深く関われることが楽しいのか、悲しいのか…(笑)。

Waboku:そうですね…。そういう時にアニメーションを作る道を選ばなければ良かったなと思うこともあります(笑)。

SHOWER:でも、沢山のファンの方が、Wabokuさんの作品を楽しみにされているはずですよ。

Waboku:そうですね。今日も個展に来てくださってる方々のリアクションを見て、やっぱり「あ〜作ってて良かったな!」と思いました。ありがとうございます!

SHOWER:まだ1日も経ってないですけど。初めての香川は、いかがですか?

Waboku: わりと都会すぎるところが苦手なところがあって…。東京に住んではいるんですけど、ちょっと外れの方に住んでいて。ある程度自然があって都会な部分もあるっていうところが好きなので、そういう意味では高松はすごく過ごしやすくて良い町だなと思いました。うどんも、すごく安くて美味しいですし(笑)。

SHOWER:うどんが安いのは重要です(笑)。今日のお昼は一緒に食べに行きましたもんね。

Waboku:500円以下で、あのうどんが食べられるなんて信じられないです!

SHOWER:ぜひ、明日も明後日も食べに行きましょう!
作品づくりのために普段の生活で心がけていることはあるんですか?

Waboku: 映像の中からヒントを得ることも結構ありますし、普通に日常生活を送ってても、ふとした瞬間に自分がした動作が目に止まって、あ、これ面白いから作品に使おうかなと思って使うこともありますね。
印象に残る動きって記憶に残ってるので、後から思い返して、あの動き良かったなと思ってアニメーション作品に使用するってことは結構あります。

SHOWER:オリジナルの動きを見つけることって結構大変だと思うんですけど。

Waboku:そうですね。人間の目ってよく出来てて、オリジナリティはあるけど自然じゃない動きをした時に違和感として捉えてしまうんですよね。違和感がないようにしながら、オリジナリティもあって面白いよねっていう動きを作るのがすごく難しいですね。アニメーションは。
うまいなーと思う動きをつくれてるのはディズニーですね。作画時代のディズニーとか本当にすごかったと思います。

SHOWER:アニメーション特有の反動をつけてから動き出す動きは面白いですよね。右に移動する前に、左に反動をつけるという前振りの動きがあることによって、アニメーションの動きの豊かさみたいなのが出るような気がしました。

Waboku:予備動作といって、パンチでも、ただパンチするだけじゃなくて、そういう動きがあることによって強く見えるみたいな原理があるみたいですね。

SHOWER:予備動作、興味深いです。

SHOWER: 今は短編アニメーションを作られていますが、長編アニメーションを作りたいと思ったりはしないですか?

Waboku:思ったことはあります。シナリオだったり企画書を書くことはあるんですけれど、今すぐには作って発表するべきではないと思っていて、それは僕の知名度だったりだとか、技術的な問題だったりもあると思うんですけど。20代のうちはミュージックビデオとかクライアントワークを中心に頑張ろうかなと考えてます。

SHOWER:長編アニメーションを作ろうとなると、自分一人ではなくて分業制になるから、そういう経験が必要ですもんね。

Waboku:そうですね。人に任せるための絵の描き方というものがあって、その絵を見てこういう風に作業すればいいんだなっていうやり方も教えなきゃいけない。そういうことがまだ勉強できてないっていうのもちょっとあります。

SHOWER:そうなんですね。例えばアニメーションを受けたときには、どんな進め方になるんですか?

Waboku: 結構フローがあって、絵コンテを描いて、作画をして、背景を描いて一本にまとめておしまいっていう感じでいつも作ってます。絵コンテの時はすごく気軽に作ってるんですけど、作画と背景の時はほぼ毎日終わらなくて、このままだと3ヶ月使っても終わんないなっていうことを考えながらやっているので、その期間は基本的に家から出ないですね…。

SHOWER:予定が長期すぎて、どこまでやっていいのか判断がつかなそうですよね。

Waboku: 一日これだけやろうっていうことを目安にやっているんですけど、終わるときには結局こんなに時間必要なかったよねとか、もっと焦った方が良かったよねっていう展開が多いので。3ヶ月ぐらいで先を見通しながら制作するとなると結構難しいものはありますね。

SHOWER:中長編は今後作っていきたいという話だったんですけど、その他にも作っていきたいテーマはあるんでしょうか?

Waboku: キャラクターが喋って演技をするテレビアニメーションも作りたいんですけど、今はミュージックビデオを多く作りたいです。ミスチルの「箒星」みたいなエンターテイメント性に飛んだ、見てて単純にワクワクして楽しい感覚を味わえるアニメーションづくりをテーマにやっていきたいなと思っています。

SHOWER:喋らずに動作で見せながら、歌の世界観を楽しませる感じですよね。

Waboku: それが本当に難しいというか、なかなかうまくできたことがないので。まずは、それを克服しないことには次へは進めないという感じですね。

SHOWER:課題を着実にクリアして、どんどん進まれてる感じがすごいですね!Wabokuさんの今後のアニメーション作品も楽しみにしています。本日はありがとうございました。

※本インタビューは、2018年4月13日のアーティスト・トークを記録・編集したものです。

Date:2018.4.13

Interview by THE SHOWER GALLERY

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