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YORIKO

YORIKO

YORIKO

YORIKO。1987年埼玉県出身、ロンドン芸術大学セントラルセントマーチンズ卒業。土地の文化を取り入れ、多世代が交流できる企画に変換させ、にぎわいあふれる空間と時間を創り上げる。

  • 2016年高松市アーティスト・イン・レジデンス
  • 2018年越後妻有 大地の芸術祭アートトリエンナーレ

www.newmor.net

Artist Interview

SHOWER:THE SHOWER GALLERY8回目となる展示アーティストは、東京で活躍されている賑わい空間作家のYORIKOさんです。よろしくお願いします。

YORIKO:よろしくお願いします。

SHOWER:YORIKOさんは地域系のイベントをたくさんやられてますが、きっかけは何だったんですか?

YORIKO: 最初はデザイナーになりたいと思ってたんですけど、何を思ったのかイギリスに留学したいと思って。イギリスに留学して、いわゆる現代アートというものを学んでみて。3年間歯を食いしばって頑張ってみたんですが、どうも現代アートってものは私には高尚で難しいなと(笑)。
何がしたいのかと思った時に、小学生の時から何とか祭と言うものに命をかけていた自分がいまして。人と何かやるのが好きだなと。そこで、アーティスト・イン・レジデンスと言う、ものをつくっている人間を呼んで地域を盛り上げるような試みが各地で行われていて。それをやってみたら楽しくて。今まで知らなかった場所に行って、そこが自分にとって大切な場所になっていくのが、東京では得られないような喜びがありました。そういった活動をやり始めて4年が経ちます(笑)。

SHOWER:YORIKOさんの出身の埼玉だと、東京からも近くてあまり故郷という感じがないですよね。

YORIKO: 埼玉県は埼玉コンプレックスを抱えて、あまり郷土愛がないまま育った県民性があります(笑)。

SHOWER:昨年、高松市のアーティスト・イン・レジデンスに応募して、その場所が仏生山になった経緯は何だったんでしょうか?

YORIKO: こちらに当時担当してくださった柳生さんが来てくださっておりますので、経緯を柳生さんから(笑)。

Yagyu:場所が全然決まらないまま来てもらって。市役所の車で走っていたら、仏生山でYORIKOさんの目の色が変わったと言うか、「ここでやりたいです!」ってYORIKOさんが。最初は瓦町の商店街の近くを回ったりしたんですけど、ちょっと仏生山も通りますかってことで通ったら…。

YORIKO:目の色が変わったんですね(笑)。商店街はあまりに大きいと思ってしまって。それが悪いってことでは勿論なくて、いろんな人が通り過ぎていく場所よりも、もうちょっとこじんまりじゃないですけど、住んでる人との関係性が作れるところがいいなと思って。仏生山を歩いてたら、「何やこの可愛らしい町は!」と。使ってなそうな建物を見つけ、そこでやらせてもらえることになりました。

SHOWER:決まってからはトントン拍子に?

YORIKO:そうですね。トントン拍子に。最初に応募する段階で「親子が一緒に授業を受ける学校というのはどうでしょう?」というのを自分で企画して提案してました。

SHOWER:授業は計20回くらい行われたんですかね?

YORIKO:そうですね、20回くらいです。展示されてあるのは13時間目までなんですけど。5時間目までは土日で同じ内容の授業をやっていて、あとはその日ごとに分けて春夏秋冬やって来て、計1年とちょっとやりました。おやこ小自体は1年半くらい存在はさせてもらって、2017年12月に閉校しました。。

SHOWER:授業科目はどういう感じで決めたんでしょうか?

YORIKO:最初は小学校っていう設定だし、科目に基づく4教科と考えて、算数、理科、社会、国語でしたね。そのあとは、その間に出会った方々で。

SHOWER:地域の人が先生になってという感じですね。

YORIKO:今回のオープニングにも来ていただいてる四軒家さんは、9時間目の福祉の先生をやってくれたんですけど。「四軒家さんやりましょうよ」という感じでお願いしましたよね!

Shikenya:そうですね(笑)。

YORIKO:仏生山の外から来てもらった人に先生をやってもらったのは9時間目までです。10時間目、11時間目は仏生山のお祭りに合わせて、文化祭やろうということで自分達がお客さんをもてなす側になってやりました。最後の授業は自分の中で前々から決めていたクライマックスはこれでしょうっていう、親先生と子ども先生の授業。今まで生徒さんだった方々に先生になってもらうというものをやりました。

SHOWER:動画にもありますが感動的な授業が行われましたよね。

YORIKO:それはそれは感動的な授業が行われました。 12時間目と13時間目と自分のインタビューをこの動画をまとめてるんですが、後輩くんに来てもらって撮影してもらったものです。授業の中で、親御さんに自分自身の仕事を紹介してくださいとお願いして、忙しかったと思いますが色々と発表してもらいました。そのプレゼンが終わって職業の人気投票を行ったり、子どもさんからのするどい質問が結構飛び交ったんですけど、「仕事を辞めたいと思ったことはありますか?」とか(笑)。それに対して親御さんが説明するんですけど、こんな返しがありました。「辞めたいと思ったことがあっても、子どもと奥さんの顔を見たら、また頑張るかと思えます」という素晴らしい回答とか、親になって嬉しかったことや、これから親になるかもしれない子どもに向けて親御さんからメッセージをもらったりしました。

SHOWER:なかなかこう言った機会は自分で作ろうと思っても恥ずかしいところがありますよね。

YORIKO:そうですね。最後は、親御さんに子どもさんからの通信簿と表彰状を描いてもらって。恥ずかしいけど、みんなの前で頑張って読んでもらいました。この動画の表情を見ると今でもグッと来ちゃうんですけど(笑)。

SHOWER:授業の中にはYORIKOさんがやったものもあったんですか?

YORIKO:私は担任としてしゃしゃり出ちゃったりしつつ、文化祭の時に図工の授業をやりました(笑)。これで動画は終了です。見ていただいてありがとうございました!

SHOWER:おやこ小は終わりましたが、現在進行中のプロジェクトがあるんですよね。

YORIKO:次は新潟県でやってます。大地の芸術祭っていうのに参加をしていて、お菓子屋さんと農家さんを周りお菓子を作って屋台で売っていうことをやってます。新潟なんで高松からは遠いんですが…、もし新潟に来る機会があったらよければ寄ってください(笑)。
そういえば!この機会におやこ小学校で来てくれた人たちに質問しても良いでしょうか。「おやこ小学校はどうでしたか?」ということをお聞きしたいのですが、大人生徒さん代表として、後藤さん(笑)。

Goto:はい。転勤で高松に来ました、埼玉県出身の後藤です。

YORIKO:やばい!そうでした(笑)。
どうして参加されようと思ったんですか?

Goto:先に参加されてた方から、面白いことやってるよって教えてもらったんです。

YORIKO:それから毎回参加してくれたんですね。参加されてどうでしたか?

Goto:子どもと一緒に机を並べて授業を受けるというのが、最初はどんな感じなのかなと思っていましたが、非常に楽しくて良い体験になりました。もしまた復活していただけるのであればすぐにいきたいと思います。仏生山以外のどこかでも続けていただければ私たちみたいな幸せな体験ができる人間が増えると思います。

YORIKO:アートプロジェクトって得体が知れないと思うので、こういうプロジェクトに参加してくださった人たちは、ある意味変わり者だなと思ったりするんですが。こうやって言って貰えるのはとても嬉しいことだと思います。

SHOWER:一般的なレジデンスでいうとアーティストが一定期間滞在して制作した作品を展示して見てもらうようなものですが、おやこ小は体験型という珍しいタイプのレジデンスでしたよね。

SHOWER:会場におられる方で質問はありませんか?

Visitor:おやこ小をやってみて親子関係の変化とか、仏生山という地域に変化があったりしたんでしょうか?

YORIKO:先生としても関わってくれましたし、生徒としても参加してくれたという稀有な方がいて。この質問は四軒家さんに聞いてもよろしいでしょうか?

Shikenya:はい(笑)。親子では1回の参加だったんですけど、改めて親らしくとか、子どもらしくというのを人前で振る舞う機会がないので、すごく新鮮でした。普段なら子どもは親の言うことを聞かないんですけど、みんなの前では聞かなきゃいけないっていうのがあったみたいで。おやこ小学校は体験型だったので、難しくて伝わらないことも、みんなで一緒に学ぶことで理解できるということがありました。
仏生山のエリアの変化でいうと、YORIKOさんが集まるところには自然と人が集まって。人柄だと思うんですけど。YORIKOさんが仏生山に来られる際にファンが自然と集うので、なかなか会えない同士の人達が会えたりすることあります。

YORIKO:めちゃくちゃ嬉しい!

SHOWER:現実的に2回目のおやこ小を作る考えは、自分の中にあったりしますか?

YORIKO: 私は決めました。人生の目標として自分で学校を作ろうと思います。人生最後の目標としてやろうと思います。そう思えたのはこの仏生山のおやこ小のおかげです!

SHOWER:良い目標ですね!2回目のおやこ小、楽しみにしてます。今回は、どうもありがとうございました。

YORIKO: どうもありがとうございました!

※本インタビューは、2018年6月1日のアーティスト・トークを記録・編集したものです。

Date:2018.6.1

Interview by THE SHOWER GALLERY

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