SHOWER MARK

Yosuke Kakegawa

掛川 陽介

Yosuke Kakegawa

掛川陽介(Yosuke Kakegawa)。1978年3月1日東京生まれ。写真家。2011年マーブルトロンより写真集「ICELANDIC HONEYMOON」を出版。現在、雑誌・書籍などで活動。

  • 2011年写真集「ICELANDIC HONEYMOON」を出版
  • 2011年個展「ICELANDIC HONEYMOON」at NO.12 GALLERY
  • 2014年個展「HENRY」at NO.12 GALLERY
  • 2015年写真集「Yosuke Kakegawa photograph A to Z」を製作
  • 2015年The Tokyo Art Book Fairに出展
  • 2017年写真集「Flower Collecting」を製作

www.yosukekakegawa.format.com

Artist Interview

SHOWER:THE SHOWER GALLERYの2回目となる展示は、東京で活躍する写真家・掛川陽介さんの写真展です。掛川さん、本日はよろしくお願いします。

Kakegawa:よろしくお願いします。

SHOWER:掛川さんがトークイベントされるのは珍しいですか?

Kakegawa:そうですね。最近、娘とその父親に向けたイベントで、髪を結う教室っていうのをやって、お父さんに髪の結い方をレクチャーしました(笑)。その時に、僕が娘の髪を結ってきた歴史をスライドで紹介するというトークイベントを初めてやりました。なので、今回が2度目ですね。

SHOWER:なるほど。それで、お子さんの髪を結うのが、めちゃくちゃ上手だったんですね(笑)。

Kakegawa:毎日やってるからかな(笑)。

SHOWER:では。今回の展示していただいた写真は何年くらい撮り溜めたものになるんですか?

Kakegawa:2001年ぐらいから最近までなので、16年間ですかね。

SHOWER:設営中に掛川さんもおっしゃってましたけど、写真同士には何の関連性がないものでも、並べて飾ってみるとそれぞれに関係性が生まれてくるように見えて面白いですね。

Kakegawa:今回の展示方法を考えた時に、関係性があるような見せ方にしたくて。例えば、娘の写真の隣にある写真は小さい頃の僕自身なんだけど、自分でも似てると思った。娘が生まれて思うのが、同じ時間を一緒に生きてるけど、絶対に同じ世代になって生きることはない。でも、隣に並べてみたら同級生になれるような感覚で(笑)。そういう事ができるのも写真の面白さかなと思います。

SHOWER:普段、出かける時は常にカメラを持っているんですか?

Kakegawa:そうですね。いざという時に間に合わないと嫌なので、撮ることを決めている時には、首からカメラを下げて移動していますね。

SHOWER:写真を生業にしようと思ったきっかけは何ですか?

Kakegawa:大学が写真学科だったのと、他に何もできなかったので、写真でいくしかないよねって感じでやって来ました。今も好きだから後悔はしてないですけどね。

SHOWER:写真学科に入っても、最終的には写真とは関係が無い仕事をする人も沢山いますよね。

Kakegawa:それって、僕は単純にしつこい人っていう(笑)。器用な人は違う道に行く可能性があるけど、僕は写真が好きだし、しつこいんで上手くいかなくても辞めない。才能があるとかないとかは考えないようにしていて。だから続けられるんでしょうけど。普通の人だと時間や目標を立てて、デッドラインを決めて、そしてある時、その結果で見切りをつけるんだろうけど。僕はそういうのは一切決めずにやってますね(笑)。

SHOWER:アーティスト(作家)活動としての写真と、仕事としての写真の違いはありますか?

Kakegawa:自分が良いと思っていても、仕事によってはあまり好まれない表現があるので、そういうものは仕事の上では避けたりしますね。例えば、背景を暗くして手前の人物に光が当たっているシーンは、人物が浮き立って見えて僕はすごく好きなのですが、仕事内容によっては必ずしもクライアントの意向にフィットしない場合もあります。アーティスト活動では自分の感じたまま撮るように心がけています。

SHOWER:仕事の写真で特に気をつけていることはありますか?

Kakegawa:最近は被写体をできる限りそのまま撮影することを心がけています。以前は、物も人も、配置やポーズを変え演出を加えて撮影していたんですけど、どうしてもどこか不自然になってしまうと気付きやめました。例えば、よく見かけるのが、親が自分の子供の写真を撮る際、「あっ、良い!」と思ったと同時に子供の名前を呼び、目線を向かせて撮るじゃないですか?そのまま撮ればいいのに、大抵の場合はその瞬間の良さが失われると思うんですよね。そんな風に普段の生活で感じたことを、仕事でも気を付けたりしますね。

SHOWER:撮影環境をデジタルに移行しようと思うことはないですか?

Kakegawa:仕事はデジタルでやってますけど、完全に移行しようと思うことはないです。たまに、フィルムを買って高いときには萎えますけど…。この間、フィルムを5本買って6700円だった時は、すごく高いと思いましたけど、いいフィルムだったのでしょうがないかと…。でも、デジタルへ逃げなくてもいいかなとも思いますね。単純に旅行に行ってデジタルで撮ると、死ぬほど撮るし、死ぬほど画面見てます(笑)。ただ、フィルムだと仕上がりが見えないからこその良さがあると思います。結果が分からないことがかえって楽しみにもなるし、撮影することに集中できる。36枚撮りであれば、36枚の制限の中で何を撮ろうかって考えるから思考が生まれるというか。それはデジタルには無いところだと思います。

SHOWER:今回販売しているグッズの中に、奥さんの森貴美子さんとのハネムーンを記録した本とオリジナルプリントの写真がありますが。

Kakegawa:随分と前の話なんですけど、結婚した時にアイスランドに行って、そしてこの本を出しました。今回の展示でこの本を販売できないかって話になったんですけど、この本はもう売っていなくて。じゃあ、Amazonを覗いてみるかって調べたら、中古でとんでもなく安い値段になってて切なくなっちゃって…。風呂上がりにポチポチしてたら気づいたら8冊くらい買ってました(笑)。ハネムーンで行ったのに、沢山写真を撮ったせいもあって、妻は疲れて先に寝ちゃっていて…。僕はアイスランドに来た気持ちが高ぶって、一人で3時間くらい周辺を歩いて写真を撮りました。本の中には沢山写真を載せてるんですけど、その時に撮った風景写真は結局入ってなくて。今回販売しているのが、その時の風景写真を暗室でプリントしたオリジナルプリントの写真で、それにおまけで本をつけて販売しますっていうものなんです(笑)。オリジナルプリントってインクジェットなんかでプリントしたものと違って雰囲気がすごく出るんですよ。

SHOWER:今回の展示では、掛川さんとTHE SHOWER GALLERYでコラボレーションをさせてもらって、掛川さんが撮り溜めていた花の写真でZINEを制作しました。出来上がりを見てどうですか?

Kakegawa:展示をやらせていただくことになった時に、何か一緒にやりたいということを考えて。人物だと権利的なものがあって難しかったので、花にしようかと思いました。花は撮るのが好きで何となくずっと撮っていたんですけど、僕はデザインができないので、花を撮ってプリントしたものを溜めるだけってところで止まってしまっていました。どうしようかと思っていた時に、このお話を頂いたので、「じゃあ、花の写真使ってギャラリーとコラボ出来ないかな」と思って。写真を100枚くらいバーっと送ってデザインを作ってもらったんだけど、僕は今まで「写真を暗室でプリントした1枚の紙が写真」で、「その写真を1枚づつ並べて作ったものが写真集」で、その先はないと思っていました(笑)。100枚の写真を送りっぱなしにしてセレクトも任せた時に、自分の撮ったものがこうやってデザインされて、何となく入れておいた写真が表紙になったり、コラージュされていたりした。それを見た時にすごく面白かった。絶対に自分では選べない写真が表紙になっていることがすごく嬉しくて。自分ではない誰かの手を借り、作品を違う形にできるっていうのは、結構いいなと。委ねるのっていいなって思った。自分が40歳になって、ある程度考えが固まってきてるから、新たに壊していく感じも面白かった。

SHOWER:委ねる怖さもあったりすると思うんですけど。

Kakegawa:絶対に合わない人もいますけどね(笑)。合わないのが悪いわけじゃなくて、感じが違うってことなんだけど。僕が技術的にできないことをお願いしたときに、何となく感覚的に近いなって事をやってくれたりするとやっぱり嬉しいですね。

SHOWER:自分がデザインできたら、こう作りたいっていう感覚ですか?

Kakegawa:さらにその想像を超えているけど、雰囲気はこれで合ってそうというか。今回100枚ぐらい送った写真の中で、使って欲しい写真と好きな写真があったんですけど、それが入ってなかった(笑)。コラボ感が無くなるのを避けて、それはあえて伝えなかったんですけど。入れて欲しかった写真が入ってなかった理由は、このZINEの完成を見て分かったというか。入る隙みたいなものが無い雰囲気を感じた時に、これは上手くいってると感じました。

SHOWER:ちなみに、このZINEは本日からギャラリーで販売してます。オンラインショップでも売っているので、いつでも購入できますので、皆さまよろしくお願いします。この会期3日間は直筆サインがつくと思います(笑)。

本日は、ありがとうございました。

※本インタビューは、2017年9月15日のアーティスト・トークを記録・編集したものです。

Date:2017.9.15

Interview by THE SHOWER GALLERY

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